畳が日本で生み出されたのは、夏の高温多湿と冬の寒さがあったから。よく乾燥されたワラとイグサのさわやかさ、温もりを住まいに取り入れてきた日本人は、四季の変化のなかで温度と湿度の微妙な動きを敏感に受け止めて、四季を通 じて最高の快適空間を伝えてきているのです。
 夏の暑い日に、畳がひんやりしていたり、さわやかな感触をもっているのは、畳の表面 の繊細な起伏が微妙に作用しているのと、イグサとワラが空気をいっぱい含んでいて、一種の断熱効果 をもっているためです。いいかえれば、空気は熱を伝導しないという機能がそのまま畳に働いているからです。

 畳の表面のさわやかさは、畳表の織り目の繊細な起伏がその秘密。わずかな隙間に空気の層をつくり、イグサそのものも内部はスポンジ状になっていて、そこに空気を吸い込み、断熱効果 とともにクッション性のある調節機能をもっているからです。
 畳床は、よく乾燥させた稲ワラをほどよく圧縮したものですが、内部のワラは空気を含んだスポンジの状態になっており、これが室内の湿気を吸い込んで、湿度を下げているのが畳特有の感触をつくっているわけです。
 もっともその畳も古くなると吸湿効果を失います。