和室というのは、うまく使いこなしていくと、京間とか江戸間といったサイズの違いはそれほど気にならないものです。それは、やはり和室のもつ空間の広がりや、<迎える間>として、あるいは<見せる空間><楽しむ空間>として、いろんな場合に備えた使いこなしのよさがあるためです。
 むしろ、家具が多かったり、畳が古くて傷んでいたりすると、次第に広がりを失い、視覚的にも座敷の傷みが目立ち、感覚的にも単なる一つの部屋になってしまい、空間の広がりが感じられなくなります。反対に、新しい畳が敷き詰められた和室は、実際以上に広く感じさせます。そういった意味で、和室の主役である畳を手入れし、座敷に新鮮さと美しさを保っていくことは、住まいのメーンである和室をフルに使いこなし、快適空間としていくための<住まい提案>の一つです。
 畳の手入れといえば、やはり忘れられないのが畳干し。年に一回か二回、風通 しのよい場所で畳の裏側に日光が当たるように屋外に出し、吸い込んだホコリをたたき出して、新しい空気を吸わせます。そして、四ー五時間ぐらい、湿気を吸い込まないように夕方になる前に元へ戻します。湿気は畳を悪くさせる最大の原因。カビが発生するとダニの発生にもつながりますが、畳干しは畳を永持ちさせるばかりでなく、健康を守り、住まいを<快適空間>とする効果 をもたらします。
 畳の汚れは、畳の目に沿って空拭きで取り除きますが、ガンコな汚れはぬるま湯で堅くしぼった雑巾で拭き、その上で食酢を少し落とした湯で、雑巾がけを行い、最後は水で堅くしぼって仕上げます。
 手入れ後の和室には、さわやかさが生まれてきます。そして使いこなしのよい部屋になるはずです。